大学生の好きなブランドの話
上司の話:
大学生に好きなブランドを聞いたら、「FUDGE」という回答だった…。
さらに聞くと、そのほか挙がったのは、「NIKE」「アンドロイド」「ステッドラー」「Bianchi」…など。かつてブランドといえば第一想起にはハイブランドやアパレルが上がってきたのではないかと思うが、学生達の回答はまさに今の時代さながら。
ifsでも、今の大学生の世代は、友達が情報源で、服は友達とのつながりを演出する一つのツールになっているとしているが…
最大公約数的状態をはみ出さないLINE世代 | 伊藤忠ファッションシステム株式会社 | itochu fashion system co.,ltd.
5年後にはポストバブル世代の子どもがいよいよ消費の自由裁量権を獲得する | 伊藤忠ファッションシステム株式会社 | itochu fashion system co.,ltd.
グループインタビューでも、最近は、好きなアパレルブランドを聞いても、名称がなかなか出てこない。
そんな時代のSCは、「いいショップ」「いい商品」を訴求しても、生活者には響かないのではないか。そんなことを改めて感じる話だった。
銀座が私を呼んでない
平日(金) PM20:00、GINZA SIXを再訪。
まずはコスメフロアへ。
コスメには珍しい気がするが、百貨店のブランドのような雰囲気で店舗ごとに区画されている。
「すみません、ちょっと見たいだけなんです…一見さんですが、お邪魔してもよろしいでしょうか?!」の境地。いきなりアウェー感で、ちょっと涙ぐむ。
_(:3 」∠)_
虎穴に入らずんばコスメを得ず!某ショップに入店。が、店員さんから押されもせず引かれちゃってる…状態。(閉店30分前だから?)小心者の私はいたたまれず、フロアを後に…
続いてレストランフロアへ。某コンサルの方曰く、やや苦戦しているようだとのことだけど、果たして…?
店先に書かれているメニューを見たところ「コース6000円~」(!) 「ぼっち」にはハードルが高い…またもやアウェー感。「銀座大食堂」がフードコートのような雰囲気なので行ってみる。が、ほとんどの店舗は、それぞれ巨大な暖簾がかかっていて外からは見えないようになっている。店先にも写真付きメニューなどは置いていない。こそっと雰囲気をうかがって、ぼっちも許される店を探そうと思ったのに、大誤算…!「だが、しかし、ここは銀座。大人達の街…こんなことで動揺を見せてはいけない!」と焦る、私。
_(:3 」∠)_
結局、暖簾の中には入れず、中央にあるオープンカウンターの店へ。「なんで30歳も過ぎて、こんなことでドギマギしてるんだろう…」とプチ自己嫌悪。隣の人が「いろんな店からちょっとずつ選んで食べれるような感じかと思ったら、普通のお店なんだね~」と連れの人と話していて、思わず「ですよね?!」と心の中で相槌を打った。
あのぅ…私、豊洲のタワーマンションには住んでいませんが、女性30代、年収は上位15%には入ってるんですが…
【結論】
銀座が私を呼んでない
商業視察4 「マロニエゲート銀座2」
商業施設の空間づくりをしている方に、「最近、注目の店はどこですか?」とお聞きしたところ、「マロニエゲート2」とのお答えだったので、行ってみた。
モンブランの美味しいアンジェリーナも、無事(?)再出店していたが、注目はそこではなく…地下2階フロアである。
アパレルやコスメといった外側の美しさではなく、運動や整体で体を整えたり、食事に気を使ったり…といった、インナービューティーの流行を受けたフロアとなっている。
ヨガのウェアを中心に、サプリメントや、オーガニックジェラートなどの飲食が並ぶ。
フロアの真ん中あたりには、ちょっと休憩できるスペースがある。この休憩スペース、初めて見たときは、「あまりにも色気がないな〜」と思った。しかし、日々通ってもらうことを考えたら、これくらいのユル〜さが丁度いいのかもしれない。気合いを入れないと行けないオシャレ空間よりも、いつ行っても良いと思えるハードルの低さ。SCは、目的を持って行く場というより、なんとなく・気軽に行く場なのだ。
MDとしては思い切った店づくりなのだと思う。しかし、私がヨガ女子だったとしても、日々通うだろうか…そんなにウェアを買うだろうか…?という気持ちになる。例えば、日々の健康チェックが気軽にできるなど、もう少し通う動機づけのあるフロアづくりでもいいのではないか、と感じた。
商業視察3 「FOOD&COMPANY」
上司が「『今』はこういうことだよ!」という例にしばしば挙げ、
ifsが2016年の新春フォーラムでも取り上げていた、学芸大学のFOOD&COMPANYに遅ればせながら行ってみた。
こじんまりとした可愛らしいお店。インテリアは今ドキ・ポートランドな雰囲気。
店内にはワークショップができるスペースがある。そこには自由に飲めるレモン水と絵本が置いてあり、「歓迎されている」感じがする。以前実施した、或る生活者インタビューで、電源コンセントのあるカフェは「『ゆっくりしていいよ』と、歓迎してくれてる気がする」と評されていたが、まさしくレモン水も絵本も「歓迎」の表れかと思う。
食材やテーマにちなんだ本も置いてある。本は、手にとって立読みして、滞在を促すツールとなる。これもある種、『ごゆっくり』という歓迎の表れかも。
一通り見て回って、本を手にとって、調理ハウツーのPOPを読んで、蜜柑を試食して…小さな店舗にも関わらず、けっこうな時間、滞在した。
こんな、ついつい居着いてしまうお店が『今の気分』だと、確かに感じた。
商業視察2 「イオンスタイル碑文谷」
流通系販促に携わっている方が「大注目!」と言い、
日経新聞でも取り上げられた「イオンスタイル碑文谷」に行ってきた。
(土曜日夕方)
かつて、ダイエーだった時代に行ったことがあるが、「20云年前と変わらないダイエーがここにあるよ!」という印象で、ドルツの替えブラシだけ買って帰った覚えがある。
周りの反応が良すぎて、期待感マシマシで行ってしまった分、批判的な目で見てしまって「枚方 T-SITEになりきれなかった感」も感じてしまったが…
冷静に考えると、私にとってドルツの替えだけ買ったらさっと帰る店だったのが、1時間ほど滞在&回遊して楽しめたのだから、この変化は十二分にすごいことだと思い直す。
「…デジャヴ?」ではないが、書店とカフェの複合業態があって、上階に銀行があって、ワゴンのVMDがあって…と枚方T-SITEと似ている点が多くあり、やはりCCCの影響力は大きく、今日のスタンダードとなっていると改めて感じた…
残念であったのは、上階にテナントが埋まらなかったのか、飲食店の隣に突然スポーツアパレルのショップが入っていたり、何もない休憩コーナーが最上階にあって、お客さんの動線やモチベーションを考えられずに作っている場になっていたこと。
それでも、食品売り場に気軽に使えるカフェコーナーがあり、少し上に行けばカウンターバルがあり、子供服売り場の横には(野菜たっぷり)ちゃんぽんのお店があったり、各所にターゲットを考慮した「居所」があるところは、大変よく考えられた店づくりだと思う。
ワーキングマザーをターゲットとしているそうで、平日の会社帰りのクイック利用には、この広さは実際のところ使いやすいのか気になるところだが、1階の惣菜コーナーは確かに使えるのかもしれない。サラダ専門店や、作り立てピザなど、「料理できなかった」という罪悪感を持たずに使えそう…
イオンスタイル碑文谷がオープン! "働くママ"を意識した店舗、その内容は? | マイナビニュース
キャンプでテント泊して森の中の朝ごはん…と夢想したり、毎朝グリーンスムージーを作って女子力を高めちゃったり…といった、ちょっと理想の自分・理想の生活を夢想したりもできる…
ちょっとしたVMDもこれまでのGMSとは大違いで、なんとなくワクワクできる…そういう小さな喜びも散りばめられており、改めて店づくり変革の好例なのかと感じた。
<ここがも良かった>
某写真プリントサービス企業の方から、スマホで撮った写真のプリント事業に力を入れていると聞いたことがあるが、ここにもセルフの写真プリントサービスがあった。これも、この店に習慣的に来る動機付け、になっているのではと思う。視察時は日曜の夕方だったので、誰も利用していなかったが、次は平日のお昼〜夕方に行って観察してみたい。
商業視察1 「GINZA SIX」
2017/4/22 土曜日、銀座に新しくできたGINZA SIXを見に行ってきた。
4/20に開業して初めてむかえる土曜日ということでかなりの人、人、人…
ただ、銀座という立地なのか、「高級商業施設」という触れ込みのせいか、はたまた、アパレルを中心としたお買い物自体が一部の人の趣味と化したせいなのか、来ているお客さんはちょっと偏りがあって、言ってみれば「ファッションおたく」、「商業関係者か?」と思われるような人が多かったように思う。設定したターゲットが来ているという意味では成功なのか…
第一印象は「ここはシンガポール?!」
館内の雰囲気は、お買い物が一大エンターテイメントとなっているシンガポールのSCそっくり。
「買う」という目的がある人向けに、高級なテナントがずらりと並んでいるという印象。逆にいうと、単に見るだけ・過ごすだけだと、なんとなく「居づらさ」を感じてしまう。
蔦屋書店も、代官山とは違う敷居の高さで、芸術書や日本刀などの工芸が理解できないといけない、頑張って合わせないといけない…という空気の店だった。
↑鑑定団か…というような白手袋をはめて閲覧するような貴重書が置いてあったり…
最近は、身の丈にあわせて、毎日の暮らしに小さな喜びを見いだすような、「暮らしの手帖」のような過ごし方が望まれてるのかと思うので、一般的な人は来店しないのでは?と思う。でも、富裕層はSCで買い物をするのか?という疑問もあり、最近よく聞く「バブルを経験したアラフィフ」が買う…のか… ターゲットの豊洲近辺の富裕層はバブル世代なのか…
半年後あたりの状況も見られればと思う。
→日経新聞にオープン当日の動向が載っていましたが、やはり50、60代の方が買っているようだ。
「GINZA SIX」開業、変わる銀座 初日ドキュメント:日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ20H6Q_Q7A420C1000000/
供給側のビジネスモデル変革ではあったのかもしれないが、 ユーザーから見た新しさや価値は少なかったように思う。雑誌が見られなくなり、ハイブランドが生活者とのタッチポイントを失っていると聞いたことがあるが、仮にショップをメディアとして捉えた場合にも、この店づくりはメディア価値が弱いのではないかと感じた。もう少し「来店する動機」づくりがあっても良いのかと。ハイブランドのショーケースだからこその、館のあり方があったのではないかと思う。
→供給側の目線からの記事:
ギンザ シックスが「規格外」である理由 (2/4) - ITmedia ビジネスオンライン
<ここが良かった その1>
lululemon(ヨガグッズ)でパーティーをやっていたが、オープン時だけではなく、定期的なイベントとして店内パーティーがあっても良いのかも!と思った。GINZA SIXにはカフェ併設のアパレルもいくつかあったが、クローズな雰囲気だったり、あくまで”併設”で「最近、コト消費とかカフェ重視って言われてるから、とりあえずカフェを付けたのかな?」という感もあったので。音楽のかかったフロアでドリンクを飲みながらオープンに集う様子は、フェス的な楽しさがあって、「行く意味」を作り出す好例かも、と感じた。
<ここが良かった その2>
ワインショップ・エノテカにカフェ&バーがついていた。イオンリカーだったり、はせがわ酒店だったり、角打ちができるお店は増えていると思うが、改めていいなと。好きか嫌いかもわからないのに買うという冒険者は今の時代には少なくなっているはずで。私自身も勢いで買ったお酒が、家に手つかずで並んでいる様子を見ると心が痛むわけで。今の人たちの「私らしく身の回りを合わせる」「細やかに選ぶ」というスタイルにはぴったりなのかなと思う。