モノが売れないと言われる時代に消費を研究している人のブログ

広告会社で、消費について研究するサラリーマン研究員のブログです。専門は駅の消費です。

商業視察1 「GINZA SIX」

2017/4/22 土曜日、銀座に新しくできたGINZA SIXを見に行ってきた。

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4/20に開業して初めてむかえる土曜日ということでかなりの人、人、人…

ただ、銀座という立地なのか、「高級商業施設」という触れ込みのせいか、はたまた、アパレルを中心としたお買い物自体が一部の人の趣味と化したせいなのか、来ているお客さんはちょっと偏りがあって、言ってみれば「ファッションおたく」、「商業関係者か?」と思われるような人が多かったように思う。設定したターゲットが来ているという意味では成功なのか…

 

第一印象は「ここはシンガポール?!」

館内の雰囲気は、お買い物が一大エンターテイメントとなっているシンガポールのSCそっくり。

「買う」という目的がある人向けに、高級なテナントがずらりと並んでいるという印象。逆にいうと、単に見るだけ・過ごすだけだと、なんとなく「居づらさ」を感じてしまう。

 

蔦屋書店も、代官山とは違う敷居の高さで、芸術書や日本刀などの工芸が理解できないといけない、頑張って合わせないといけない…という空気の店だった。

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↑鑑定団か…というような白手袋をはめて閲覧するような貴重書が置いてあったり…

 

最近は、身の丈にあわせて、毎日の暮らしに小さな喜びを見いだすような、「暮らしの手帖」のような過ごし方が望まれてるのかと思うので、一般的な人は来店しないのでは?と思う。でも、富裕層はSCで買い物をするのか?という疑問もあり、最近よく聞く「バブルを経験したアラフィフ」が買う…のか… ターゲットの豊洲近辺の富裕層はバブル世代なのか…

半年後あたりの状況も見られればと思う。

日経新聞にオープン当日の動向が載っていましたが、やはり50、60代の方が買っているようだ。

「GINZA SIX」開業、変わる銀座 初日ドキュメント:日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ20H6Q_Q7A420C1000000/

 

供給側のビジネスモデル変革ではあったのかもしれないが、 ユーザーから見た新しさや価値は少なかったように思う。雑誌が見られなくなり、ハイブランドが生活者とのタッチポイントを失っていると聞いたことがあるが、仮にショップをメディアとして捉えた場合にも、この店づくりはメディア価値が弱いのではないかと感じた。もう少し「来店する動機」づくりがあっても良いのかと。ハイブランドのショーケースだからこその、館のあり方があったのではないかと思う。

→供給側の目線からの記事:

ギンザ シックスが「規格外」である理由 (2/4) - ITmedia ビジネスオンライン

 

<ここが良かった その1>

lululemon(ヨガグッズ)でパーティーをやっていたが、オープン時だけではなく、定期的なイベントとして店内パーティーがあっても良いのかも!と思った。GINZA SIXにはカフェ併設のアパレルもいくつかあったが、クローズな雰囲気だったり、あくまで”併設”で「最近、コト消費とかカフェ重視って言われてるから、とりあえずカフェを付けたのかな?」という感もあったので。音楽のかかったフロアでドリンクを飲みながらオープンに集う様子は、フェス的な楽しさがあって、「行く意味」を作り出す好例かも、と感じた。

 

<ここが良かった その2>

ワインショップ・エノテカにカフェ&バーがついていた。イオンリカーだったり、はせがわ酒店だったり、角打ちができるお店は増えていると思うが、改めていいなと。好きか嫌いかもわからないのに買うという冒険者は今の時代には少なくなっているはずで。私自身も勢いで買ったお酒が、家に手つかずで並んでいる様子を見ると心が痛むわけで。今の人たちの「私らしく身の回りを合わせる」「細やかに選ぶ」というスタイルにはぴったりなのかなと思う。

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