モノが売れないと言われる時代に消費を研究している人のブログ

広告会社で、消費について研究するサラリーマン研究員のブログです。専門は駅の消費です。

商業視察7 RELIFE STUDIO FUTAKO から考える店舗の近い将来について ~ショールーム化する店舗~

リニューアルした二子玉川 蔦屋家電に行ってきた。

 

CCCの取組にはいつも驚かされる。TSUTAYA BOOK APARTMENTも、TSUTAYAとコラボしたマンションにもびっくりしたが、この蔦屋家電にもびっくりした。TSUTAYA BOOK APARTMENTは新宿の一等地ともいえるような場所で、非常にゆとりのあるワークスペースを提供している。マンションでは、本のあるコミュニティスペースを運営。いずれも、これまでのレンタルや小売とは相当離れたビジネスモデルだが、蔦屋家電も斬新なビジネスモデルになっていた。

というのは、蔦屋家電二子玉川ライズのテナントのはずなのだが、その蔦屋家電の中にさらにテナントともいうべきものが入っていたのだ。これまで以上に。

 

目玉はパナソニックのショウルームである「RELIFE STUDIO FUTAKO」

www.panasonic.com

テナントとしてショウルームを入れているといえると思うのだが、それをこのような東京のショッピングセンターでやってしまうことがすごい。従来のショッピングセンターでは、売上に連動してテナント賃料が決まるので、売上のいい物販テナントをなるべく入れようとしていた。リニューアル前の蔦谷家電もちょこちょことテナントが入っていたようだが、リニューアル後は半分以上がテナント=ショウルームになっているんじゃないかと思われた。(正確なところはわかりませんが…) 従来の小売を前提とした店舗のあり方から、完全に脱却している様子。

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近年、モノが売れないと言われるように(本ブログのタイトルにもしていますが)、物販の売上ありきでショッピングセンターを運営するのは、そろそろ厳しくなってきている。ではモノを売らない「ショッピングセンター」は何になれるのか?

私の周辺では(でも)、その1つの解は「ショウルーム」なのではないかと言われていた。売場としての価値ではなく、店舗を媒体・メディアとしてみてしまうのだ。この蔦谷家電はまさにそれを体現していると思う。近い将来の店舗はショウルーム化するのではと予想していたが、こんなにも早く実現してしまうとは思わなかった。

 

さらに、びっくりしたのは、その「ショウルーム」を実現するための集客装置として、人の居所・居場所となる場を提供していることだ。私の最近の研究でも、「ショッピングセンターは居場所」となるべきだと発表したのだが、それも体現されている。

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まるで、自宅のリビングルームにいるかのように過ごす人々。子供を安心して遊ばせられるスペースもある。さらに、セミナーやワークショップがあったり、ちょっと毎日のプラスになることもある。もちろん、商品やサービスから日々のヒントを得られる。

こうなってくると、自宅にリビングルームを持たなくても、テレビを持たなくても、こんなに素敵なリビングルームがあるなら、リビングは外にあればいいじゃないか!となる。私の研究所ではこれを「ソーシャルリビング」と呼んでいる。

 

そういえば、10年前くらいだろうか。10+1がまだ雑誌としてあったころのこと。どの号かは忘れてしまったが、住宅の機能が都市の中に埋め込まれたことで住宅の在り方が変わっていく、という論が載っていた。コンビニが冷蔵庫がわりになるし、ファーストフードやファミレスがダイニングで、スポーツジムやスパや漫画喫茶でシャワーも浴びれ…住宅の機能が外部化すれば、住宅は寝床くらいあればいいよね…というような話があった。(久しぶりに読みたかったので、目ぼしいキーワードで検索してみたものの、下記のURLくらいしかヒットしなかった…) 10年前には画期的なことを言うもんだ!と膝をうったが、それが現実化しているのだ。論説・新しい提案に、現実が追いつくのが早くなっているのではないか。10plus1.jp

 

 

ところで、今回、一番びっくりしたものは、下記。

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お願いされなくてもぶつけたくはないが、ぶつかっちゃうときはぶつかっちゃうのが人の常なのよ・・・